「うちの施設だけ離職が多いのでは」——そう感じたら、まず数字で実態を確認しませんか。この記事では介護職の離職率の最新データと、辞める理由の傾向、自施設のリスクを確認できるチェックリスト、そして今日から着手できる対策までまとめました。

  1. 介護職の離職率は本当に高い?最新データで見る実態
  2. 介護職員が辞める理由ランキングTOP5
  3. あなたの施設は大丈夫?離職リスク自己診断チェックリスト
  4. 今日からできる離職防止の第一歩
  5. 数字を追うだけで終わらせないために
  6. よくある質問(FAQ)

1. 介護職の離職率は本当に高い?最新データで見る実態

結論から言うと、「介護職は離職率が高い」というイメージは、近年のデータでは必ずしも正しくありません。公益財団法人介護労働安定センターが毎年公表している「介護労働実態調査」によれば、介護職員の離職率は10%台前半〜半ばで推移する年が続いています。これは全産業平均(15%前後)と同水準か、年によってはこれを下回る水準です。ただし数値は調査年度・母集団によって変動するため、最新の値は同センターや厚生労働省の公表資料で必ず確認してください。

全産業平均と比べるとどうか

「介護職の離職率=突出して高い」というより、「事業所間の差が大きい」というのが実態に近い言い方です。職場環境づくりが進む施設がある一方、慢性的に人が抜け続ける施設も存在し、平均値だけを見ると実態が見えにくくなります。

施設形態・雇用形態による違い

訪問系サービスは移動負担や1人での対応が多く、離職率がやや高めに出る傾向が指摘されています。また、非正規雇用は正規職員より離職率が高い傾向も従来から報告されています。自施設の職種構成によって「平均値」との比較の意味合いが変わる点に注意が必要です。

「1年未満離職」の実態

介護職に限らず、入職から1年未満で離職する人の割合は業界の課題として繰り返し指摘されています。採用してもすぐ辞めてしまう場合、原因は給与よりも「配属後のフォロー不足」「教育体制の手薄さ」にあることが少なくありません。

2. 介護職員が辞める理由ランキングTOP5

介護労働実態調査など各種調査で繰り返し上位に挙がる離職理由を整理すると、次の5つに集約されます(順位・割合は調査年度により変動するため、最新の調査結果もあわせてご確認ください)。

1位:職場の人間関係のストレス

最も多く挙がるのが人間関係です。「特定の職員との相性」ではなく、情報共有不足やちょっとした声かけの少なさが積み重なって、孤立感につながるケースが目立ちます。

2位:法人の理念・運営方針への不満

「利用者本位」を掲げていても、現場の実態と経営方針にズレがあると感じた職員から離れていきます。理念と現場運営の一致度は、離職率に直結する要素です。

3位:心身の負担(腰痛・夜勤などの身体的負担)

移乗介助や夜勤による身体的な負担は、経験年数が長い職員ほど蓄積します。腰痛対策・夜勤シフトの組み方は定着率に直結するテーマです。

4位:結婚・出産・育児・親の介護などライフイベント

本人の意思とは別の事情による離職も一定数あります。両立支援制度の整備・周知が不十分だと、本来なら続けられたはずの人材まで失うことになります。

5位:将来性・キャリアパスへの不安

「この施設で何年働いても給与も役割も変わらない」と感じると、若手・中堅ほど転職を検討し始めます。評価制度・昇給の道筋が見えることが、将来不安の軽減につながります。

3. あなたの施設は大丈夫?離職リスク自己診断チェックリスト

理由が分かっても「自施設がどの段階か」が分からなければ対策は打てません。以下でセルフチェックしてみてください。

  • □ 直近1年で、入職1年未満の職員が3名以上離職した
  • □ 新人の配属後、教育担当以外が声をかける機会がほとんどない
  • □ 職員面談は年1回の人事考課面談のみで、日常的な1on1がない
  • □ 部署間・シフト間で情報共有の場がなく、伝達がすれ違うことがある
  • □ 職員から「この施設で長く働くイメージが湧かない」という声を聞いたことがある

3つ以上該当する場合、離職リスクが高まっている可能性があります。特に「教育担当以外が声をかけない」「日常的な1on1がない」の2項目は、人間関係のストレスや将来不安に直結しやすいため優先度が高いポイントです。

4. 今日からできる離職防止の第一歩

体制づくりの詳しい手順は末尾「あわせて読みたい」の関連記事にもまとめていますので、ここでは「今日からできる範囲」に絞って紹介します。

  • 声かけの仕組み化:教育担当任せにせず、上長・先輩からの声かけを週1回など「仕組み」にする。
  • 短時間の個別面談の導入:評価面談とは別に、月1回30分程度の雑談ベースの面談を設けるだけで「見てもらえている」実感が生まれます。
  • 情報共有の場を増やす:部署・シフトをまたいだ小さな共有機会が、人間関係のストレスを予防します。
  • 評価とキャリアパスの見える化:「何をすれば評価されるか」を明文化するだけで、将来不安の軽減につながります。

これらは特別な予算をかけずに始められる一歩ですが、仕組みとして続けるには、面談スキルやチームづくりのノウハウが必要になる場面も出てきます。

5. 数字を追うだけで終わらせないために

離職率のデータや理由ランキングを把握しても、「対策が続かない」施設には共通点があります。それは、対策を思いつきで単発実施してしまい、仕組みとして定着させる前に担当者の異動や多忙で立ち消えになることです。

■ミニ事例(イメージ例)

  • 課題:入職1年未満の離職が続き、採用コストが年々かさんでいた特別養護老人ホーム(定員80名程度)の例
  • 施策:月1回の職員個別面談(ZOOM30分)を導入し、あわせてチームビルディング研修で部署間の情報共有を強化
  • 結果:(例)早期離職の相談件数が減少傾向に。ただし効果の出方は施設の規模・体制により異なるため、実際の効果は自施設で記録・検証することをおすすめします。

「声かけを仕組みにする」「面談を月1回にする」と決めても、実際にどう声をかけるか、面談で何を聞くかのノウハウがなければ、担当者の負担だけが増えて続きません。第三者が入って現場のコミュニケーションを一度棚卸しする、あるいは個別面談を外部の視点で実施することで、社内だけでは気づきにくい離職リスクの芽を早期に見つけられるケースもあります。

6. よくある質問(FAQ)

Q1. 介護職の離職率が高いと言われるのはなぜですか?

A. 一部の事業所・訪問系サービスや、教育体制が手薄な施設で離職率が高く出ることが、業界全体の印象につながっていると考えられます。全体平均で見ると全産業平均と大きく変わらない年もあるため、「業界全体が高い」というより「事業所間の差が大きい」と捉えるのが実態に近い見方です。

Q2. 介護職員の離職理由でもっとも多いものは何ですか?

A. 各種調査で繰り返し上位に挙がるのは「職場の人間関係」です。給与や仕事内容そのものより、日常のコミュニケーション不足が離職の引き金になりやすい傾向があります。

Q3. 介護職は入職1年以内に辞める人がどのくらいいますか?

A. 業界課題として1年未満離職の多さは繰り返し指摘されていますが、正確な割合は調査年度・母集団により変動します。最新の数値は介護労働安定センターや厚生労働省の公表資料でご確認ください。

Q4. 訪問介護と施設介護で離職率に違いはありますか?

A. 訪問系サービスは移動負担や単独対応の多さから、施設系よりやや離職率が高めに出る傾向が指摘されています。ただし事業所ごとの差も大きいため、自施設の職種構成をふまえた比較が必要です。

Q5. 離職率が低い施設にはどんな共通点がありますか?

A. 日常的な声かけ・短時間面談の仕組み化、情報共有の場の確保、評価とキャリアパスの見える化ができている施設は、離職率が低く安定する傾向があります。特別な制度よりも「仕組みとして続いているか」が分かれ目になります。

まとめ

介護職の離職率は「業界全体が特別高い」わけではなく、事業所間の差が大きいのが実態です。離職理由の上位は人間関係・理念のズレ・身体的負担・ライフイベント・将来不安の5つに集約され、自施設の状態はチェックリストで診断できます。今日からできる声かけ・面談の仕組み化を、単発で終わらせず継続する体制づくりが次の一歩です。

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著者・監修

監修:[ ](介護福祉士/主任介護支援専門員 など実資格・経歴/要差し替え)

介護現場での実務経験をもとに、離職・定着に関する現場課題の監修を担当。

運営:介護のYOHAKU

「余白=余裕から成長が生まれる」を理念に、介護施設向けのKPI研修・チームビルディング研修・職員個別面談を提供。[ 施設以上・ 名以上の育成支援実績/要差し替え]

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