
「この書き方で伝わるだろうか」「NG表現を使っていないか不安」。介護記録に悩む方は少なくありません。本記事では、5W1Hや客観的表現などの書き方の基本ポイントから、場面別の例文、避けたいNG表現までをまとめて解説します。
この記事は、介護施設の研修・人材育成を支援する「介護のYOHAKU」の視点を踏まえて構成しています。
- 1. 介護記録とは?書く目的と法的な位置づけ
- 1.1. 個人情報保護の観点で気をつけること
- 1.2. 介護現場の課題解決をサポートします
- 2. 介護記録の書き方の基本ポイント(5W1H・客観的表現)
- 2.1. 原則1:5W1Hで書く
- 2.2. 原則2:事実と解釈を分ける(客観的表現)
- 2.3. 原則3:専門用語・略語は誰にでも伝わる言葉で
- 3. 避けたい介護記録のNG表現と言い換え例
- 4. 【場面別】そのまま使える介護記録の例文8つ
- 4.1. 介護現場の課題解決をサポートします
- 5. サービス形態で書き方は変わる?
- 6. 介護記録が書けない・時間がかかるときの効率化のコツ
- 7. よくある質問(FAQ)
- 7.1. 介護現場の課題解決をサポートします
- 8. まとめ
- 9. あわせて読みたい
- 10. 著者・監修
- 10.1. 介護現場の課題解決をサポートします
介護記録とは?書く目的と法的な位置づけ
介護記録は、利用者の心身の状態やケアの内容を残す業務上の記録です。目的は主に3つあります。
- 情報共有:職員間、看護師や相談員など多職種間でケアの一貫性を保つための土台になります。
- ケアの根拠:サービス提供の事実を証明し、ケアプラン見直しの材料になります。
- 記録の整備・保存義務:指定基準では、サービス提供の記録を整備し一定期間保存することが求められています。
保存期間は自治体の条例により異なる場合があるため、最新の取り扱いは所轄自治体の通知と自施設の運営基準をご確認ください。
個人情報保護の観点で気をつけること
介護記録には、心身の状態や生活歴など機微な個人情報が含まれます。次の点を徹底しましょう。
- 記録は第三者の目に触れない場所で記入・保管する(電子記録は職種・役割ごとにアクセス権限を分ける)。
- SNSや私用のメモ・写真への転載は行わない。
- 家族への開示は、施設の規程と本人・家族の同意範囲に沿って行う。
- 異動者・退職者の記録閲覧権限は速やかに見直す。
これらは一般的な留意点の整理です。個人情報保護法および自施設の規程に沿った運用を最優先してください。

介護現場の課題解決をサポートします
職員定着、人間関係、チームづくり、数字管理。
施設ごとに課題は異なります。
まずは現状をお聞かせください。
介護記録の書き方の基本ポイント(5W1H・客観的表現)
介護記録は「誰が読んでも同じ状況が思い浮かぶ」ことがゴールです。次の3原則を押さえれば、書き方に迷いにくくなります。
原則1:5W1Hで書く
「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」を意識すると、状況が具体的に伝わります。「転倒した」だけでなく、「11時20分、居室のベッド脇で、立ち上がろうとした際にバランスを崩し転倒」のように書きます。
原則2:事実と解釈を分ける(客観的表現)
見たこと・聞いたことの「事実」と、自分の「解釈・推測」を分けて書くことが、介護記録の書き方のポイントの中心です。「落ち着かない様子」で終わらせず、「同じ質問を10分間に3回繰り返す」など観察した事実を先に書き、解釈は「〜と思われる」と分けて記載します。
原則3:専門用語・略語は誰にでも伝わる言葉で
略語は職種によって解釈が割れることがあります。家族の理解や多職種連携を想定し、初出時は正式名称を添えましょう。

避けたい介護記録のNG表現と言い換え例
曖昧な言葉・決めつけ・不適切な略称は、記録の証拠能力を下げ、トラブル時に不利にもなります。次の言い換えを覚えておきましょう。
| NG表現 | 問題点 | 言い換え例 |
|---|---|---|
| 暴れた/暴言を吐いた | 主観的で感情的な決めつけ | 発言・行動をそのまま記載する(例:「大声で『帰りたい』と繰り返し訴えられた」) |
| いつものように | 抽象的で状況が伝わらない | 具体的な行動で書く(例:「10時の口腔ケア時、自力で歯ブラシを使用された」) |
| 問題なし/異常なし | 何を確認したか不明 | 確認した内容を明記する(例:「体温36.4℃、顔色良好、食事は主食8割摂取」) |
| ちゃんと/きちんと | 主観的な評価語 | 行動で表現する(例:「手すりを使い、一人でトイレまで歩行された」) |
| 〜だと思う(根拠なし) | 推測と事実の混同 | 観察事実を先に書き、解釈は「〜と考えられる」と分けて記載する |

【場面別】そのまま使える介護記録の例文8つ
型を知れば、場面が変わっても応用できます。自施設の状況に合わせて書き換えてお使いください。
1. 食事・水分補給
「昼食は主食・副食とも8割摂取。お茶を150ml摂取。むせ込みなし。」
2. 入浴・整容
「10時より一般浴を実施。背部に発赤なし。洗髪時、『気持ちいい』との発言あり。」
3. 排泄
「11時、トイレにて排尿あり。介助のもと、手すりを使用し自力で移乗された。」
4. 夜間巡視
「1時30分の巡視時、入眠中。呼吸・体位に変化なし。」
5. 機能訓練・レクリエーション
「体操レクに20分参加。椅子からの立ち座りを5回実施。表情は穏やかだった。」
6. ヒヤリハット
「14時、廊下で職員が目を離した隙に車椅子から立ち上がろうとされた場面を発見。転倒には至らず。手すりの位置と見守り体制を再確認し、事故防止につなげた。」
7. 認知症の言動
「『財布がない』と繰り返し訴えられたため、一緒に居室を探し、本人の目の前で発見。『ありがとう』との発言あり。」
8. 看取り期
「呼吸が浅くなり、1分間に8回程度。ご家族が付き添われ、手を握りながら声かけをされていた。」

介護現場の課題解決をサポートします
職員定着、人間関係、チームづくり、数字管理。
施設ごとに課題は異なります。
まずは現状をお聞かせください。
サービス形態で書き方は変わる?
基本の3原則は共通ですが、記録に含めるべき視点は少し変わります。
- 訪問介護:自宅内の環境変化(火の元・服薬管理状況など)や、ご家族との会話内容も記録の対象になります。
- 通所介護(デイサービス):来所時と帰宅時の体調差、他利用者との関わりの様子を記録すると変化に気づきやすくなります。
- 施設・グループホーム:24時間の生活の連続性を意識し、シフト間の申し送り事項を記録に残すことが重要です。

介護記録が書けない・時間がかかるときの効率化のコツ
「書けない」原因の多くは、観察メモの不足か、定型文の不足です。記録作成に時間がかかると感じたら、次の4つを試してみましょう。
- その場でメモを取る:巡視・ケアの直後に一言メモを残し、あとでまとめて清書する時間を減らす。
- 場面別の定型文を持つ:本記事の例文を自施設用にアレンジし、テンプレート化する。
- 「事実→解釈→対応」の順で箇条書きする:文章にこだわらず、まず箇条書きで骨子を作ってから整える。
- 記録ソフト・音声入力を活用する:手書きにこだわらず、ICTツールを使うと入力時間を短縮できる施設もあります。
(例)ある特別養護老人ホームでは、夜勤帯の記録に平均15分かかっていたところ、巡視直後のメモ習慣と定型文の整備で約8分に短縮できたという声もあります。効果は施設の体制によって異なるため、まずは一部の職員から試すことをおすすめします。

よくある質問(FAQ)
Q. 介護記録の書き方の基本(5W1H)とは何ですか?
A. いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように、の6つの要素を意識して書く方法です。状況を具体的に書くことで、誰が読んでも同じ場面が思い浮かぶ記録になります。
Q. 介護記録のNG表現には何がありますか?
A. 「暴れた」「ちゃんと」「問題なし」など、主観的・抽象的な言葉はNG表現とされがちです。発言や行動をそのまま書き、確認した内容を具体的に記載することで避けられます。
Q. 看取り期の介護記録はどう書けばいいですか?
A. 呼吸状態・意識レベル・ご家族の様子など、時間の経過とともに変化する事実を記録します。感情表現よりも、観察した事実を淡々と時系列で残すことを意識しましょう。
Q. 暴言を受けた場面はどう記録すればいいですか?
A. 感情的にならず「〇時、『(発言内容をそのまま)』と大声で発言された」のように、発言と状況を事実として記録します。ハラスメントに該当する可能性がある場合は、施設のハラスメント対応の記録様式にも残しておくと安心です。
Q. 訪問介護・デイサービス・施設で書き方は違いますか?
A. 5W1Hや客観的表現といった基本は共通です。ただしサービス形態によって、自宅の環境変化や来所時の体調差など、記録すべき視点が少し異なります。

介護現場の課題解決をサポートします
職員定着、人間関係、チームづくり、数字管理。
施設ごとに課題は異なります。
まずは現状をお聞かせください。
まとめ
日々の介護記録は、5W1Hで具体的に、事実と解釈を分けて、誰にでも伝わる言葉で書くことがポイントです。場面別の例文とNG表現の言い換えを手元に置けば、迷う場面は減っていきます。
今日からできる一歩は、直近で記入した記録を1つ見直し、本記事のNG表現に当てはまる言葉がないか確認してみることです。
記録様式の整備や、書き方の研修を仕組みにしたい場合は、「介護のYOHAKU」の個別相談もご活用いただけます。
あわせて読みたい
- 介護記録テンプレート&記載例集!現場で差がつく!
- 介護自己評価 書き方 例文|現場で活かす記録・共有のコツと具体例
- 看取り介護とは何か?
- 今すぐできる!認知症の人が安心する声かけテクニック7つ
- 介護施設でのハラスメント対策完全ガイド
著者・監修
執筆:介護のYOHAKU編集部(介護施設向け研修・人材育成支援)
運営者「介護のYOHAKU」が提供する研修支援サービス
- ZOOMを活用した介護現場向けの研修(記録の書き方研修・OJT設計など)
- 記録様式の整備・運用ルールづくりの個別相談
- 年間研修計画づくりの支援
本記事は一般的な書き方を整理したものです。記録の保存期間・様式等の運営基準の取り扱いは、自施設が指定を受けている基準と所轄自治体の通知をご確認ください。

介護現場の課題解決をサポートします
職員定着、人間関係、チームづくり、数字管理。
施設ごとに課題は異なります。
まずは現状をお聞かせください。

