「リーダーに向いているタイプではないのに、主任を任されてしまった」。そう感じている方は少なくありません。ですが、介護現場のリーダーシップは生まれつきの性格ではなく、誰でも後から鍛えられるスキルです。本記事では、主任・ユニットリーダーに求められる5つの力と、明日から現場で試せる鍛え方を整理します。

  1. 介護現場で言う「リーダーシップ」とは
  2. なぜ今、現場のリーダーシップが問われているのか
  3. 主任・ユニットリーダーに必要な5つの力
  4. 5つの力を鍛える実践方法
  5. リーダーシップを発揮しやすい環境を施設側からもつくる
  6. よくある質問(FAQ)
  7. まとめ

1. 介護現場で言う「リーダーシップ」とは

リーダーシップとは、役職名ではなく、周囲を動かして目的を達成する力を指します。主任やユニットリーダーという肩書きがあっても発揮できていない人もいれば、役職がなくても現場でリーダーシップを発揮している職員もいます。まず役職とスキルを切り分けて考えることが出発点です。

よく混同されるのが「マネジメント」との違いです。マネジメントが仕組みや業務を管理し、決められたことを確実に回す力だとすると、リーダーシップは方向性を示し、人の気持ちを動かして現場を前に進める力です。介護現場の管理職論では、この2つを分けて「PM理論」(目標達成機能と集団維持機能の両方が必要という考え方)で説明されることもあります。どちらか一方では現場は回らず、両輪として捉えるのが実務的です。

2. なぜ今、現場のリーダーシップが問われているのか

介護現場では、施設長や管理者が日々のシフトや利用者対応の細部まで見きれないことがほとんどです。実際に現場を毎日動かしているのは、主任やユニットリーダーという「中間で汗をかく人たち」です。人手不足で新人が入れ替わりやすい環境だからこそ、この層のリーダーシップの有無が、職員の定着率やケアの質に影響しやすくなります。

「役職は与えられたが、育成の機会は特にない」という施設は珍しくありません。これは本人の能力不足ではなく、組織としてリーダーシップを育てる仕組みが不足していることが原因であるケースが多いというのが、現場支援を行う中で見えてきた実感です。

3. 主任・ユニットリーダーに必要な5つの力

上位で評価されている介護リーダー論の多くは「コミュニケーション能力」「マネジメント力」「臨機応変な対応力」を挙げています。これらを現場で使える形に整理すると、次の5つの力に集約できます。

①目的を示す力(ビジョン共有力)

「なぜこのケアをするのか」「今月チームとして何を目指すのか」を、自分の言葉で伝える力です。指示だけでは人は長く動けません。目的が腹落ちして初めて、指示待ちのチームから自ら考えるチームに変わります。

②聴く力(対話・傾聴力)

部下の話を「聞いているつもり」で終わらせず、相手の状況や本音を引き出す力です。(例)定期的な1on1面談を固定枠として取り入れると、部下の小さな違和感や早期離職のサインに気づきやすくなる、という傾向が現場ではよく見られます。聴く力は指導力の土台です。

③見極めて任せる力(状況対応力)

経験の浅い新人には手順を丁寧に教え、経験を積んだ職員には裁量を渡す。相手の成熟度に応じて関わり方を変える力です。全員に同じ接し方をすると、育っている職員のやる気を削いでしまうことがあります。

④育て、チームをまとめる力(育成・チームビルディング力)

個人の指導だけでなく、チームとして助け合える関係をつくる力です。人間関係のこじれは、介護職の離職理由として挙げられることが多い要因の一つです。定期的なチームビルディングの機会を設けることは、遠回りに見えて定着率改善への近道になります。

⑤数字で語る力(KPI・振り返り力)

「頑張りましょう」で終わらせず、離職率・稼働率・ヒヤリハット件数などの数字で現状と変化を示す力です。感覚だけで評価・指導をすると、職員から「何を求められているか分からない」という不満につながります。目標を数値と期限で示せるリーダーは、部下からの信頼も得やすくなります。

4. 5つの力を鍛える実践方法

理論だけでは現場は変わりません。それぞれの力について、今日から試せる行動を整理しました。

明日からできる行動振り返りの指標(例)
①目的を示す力朝礼で「今日のケアの目的」を一言添えるチームの提案・発言件数
②聴く力月1回・15分の1on1を固定枠にする早期の相談件数・離職予兆の把握数
③見極めて任せる力新人と中堅で仕事の任せ方を意図的に変える新人の定着率、中堅の自発的な行動件数
④育成・チームビルディング力月1回、業務外の対話や簡単なチーム演習を行う職員満足度アンケートの数値
⑤数字で語る力離職率・稼働率を月次でチームに共有する目標との差分(例:離職率◯%→◯%)

いずれも大がかりな制度変更は不要です。小さく始めて、数字や職員の反応で効果を確認しながら続けることがポイントです。

5. リーダーシップを発揮しやすい環境を施設側からもつくる

主任やユニットリーダー個人の努力だけに頼る体制は長続きしません。施設側が研修機会を用意し、数字の見方やチームづくりの型を学べる場を継続的に提供することも、5つの力を組織として底上げする近道です。

6. よくある質問(FAQ)

Q1. 介護におけるリーダーシップとは何ですか?

A. 役職の有無に関わらず、周囲を巻き込みながら目的に向かってチームを動かす力を指します。生まれ持った性格ではなく、後天的に鍛えられるスキルです。

Q2. リーダーシップとマネジメントの違いは何ですか?

A. マネジメントは業務や仕組みを管理し確実に回す力、リーダーシップは方向性を示し人の気持ちを動かす力です。介護現場ではどちらも必要で、片方だけでは機能しません。

Q3. 資格がなくてもリーダーシップは身につけられますか?

A. 身につけられます。リーダーシップは資格要件ではなく行動の積み重ねで育つ力です。①〜⑤の力を1つずつ意識して実践することが近道です。

Q4. 部下がなかなか思うように動いてくれないときはどうすればいいですか?

A. 指示の出し方だけを見直す前に、「目的が伝わっているか」「相手の状況を聴けているか」を確認してください。多くの場合、指導力よりも①目的共有・②傾聴の不足が原因になっています。

まとめ

介護現場のリーダーシップは、性格ではなく育てられるスキルです。①目的を示す力、②聴く力、③見極めて任せる力、④育成・チームビルディング力、⑤数字で語る力の5つを意識し、小さな行動から積み重ねることで、主任・ユニットリーダーとしての土台は着実に強くなります。

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著者・監修

執筆:介護のYOHAKU編集部(介護施設向けKPI研修・チームビルディング研修・個別面談を提供)

監修:[監修者氏名/要差し替え]([介護福祉士/主任介護支援専門員/元施設長 等の実資格・経歴/要差し替え])

運営実績:[◯施設以上・◯名以上の育成支援実績/要差し替え・実績がある場合のみ記載]

※本記事の理論的枠組み(PM理論等)は一般的なマネジメント論の紹介であり、施設ごとの制度・体制は所属先の規程や最新の公的情報を確認してください。