「1on1面談を始めたいが、何を聞けばいいか分からない」「新人には効果があったのに、中堅職員には響かない」——介護施設の施設長・管理者からよく聞く悩みです。本記事では、1on1面談の目的や頻度の目安から、新人・中堅職員別の質問例、現場でそのまま使える面談テンプレートまで、今日から実践できる形で解説します。

1on1面談とは?通常の職員面談との違いと目的

結論から言うと、1on1面談とは、上司と部下が定期的・短時間で行う「対話重視」の1対1面談のことです。年1〜2回の人事評価面談とは、目的も進め方も異なります。

評価面談は「評価を伝える場」であるのに対し、1on1面談は「部下のための時間」という位置づけが基本です。両者の違いを整理すると次のとおりです。

比較項目評価面談1on1面談
主な目的評価結果の伝達・処遇への反映状態把握・信頼構築・早期の課題発見
頻度年1〜2回週1回〜月1回
主導権上司が進行部下が話す時間を優先
話す内容実績・目標達成度業務の困りごと、体調、人間関係、将来像など

似た切り口の記事として職員面談全般を扱う内容もありますが、本記事は1on1という「定期的・短時間・対話重視」の形式に絞り、質問例とテンプレートを中心に紹介します。

1on1面談の3つの目的

1on1面談を導入する目的は、主に次の3つです。

  • 変化の早期発見:体調不良や人間関係の摩擦、離職の予兆といった小さな変化を、深刻化する前にキャッチする
  • 心理的安全性の確保:「話しても大丈夫」という安心感を積み重ね、本音を話せる関係を作る
  • 定着・成長支援:本人のキャリアや悩みに寄り添い、成長実感とやりがいを支える

実施頻度・時間の目安

1on1面談は、対象者の経験年数によって頻度を変えるのが実践的です。

対象頻度の目安1回の時間主な狙い
新人職員(入職〜3か月)週1回10〜15分不安の早期把握、業務理解の確認
新人職員(4か月〜1年)月1〜2回15〜20分定着支援、成長実感の確認
中堅職員月1回〜隔月20〜30分キャリア支援、負担感・モチベーションの把握

短時間でも「定期的に必ず行う」ことが、1回あたりの充実度よりも重要です。忙しさを理由に延期が続くと、部下は「自分は後回しにされている」と感じやすくなります。

1on1面談を始める前に準備すること

1on1面談は、準備なしに始めると「世間話で終わる」「気まずい沈黙が続く」といった状態に陥りがちです。次の2点を事前に整えておきましょう。

実施のルール(守秘義務・NG質問・場所選び)

  • 守秘義務を明確にする:面談で聞いた内容を、本人の同意なく他の職員に共有しないと事前に約束する
  • NG質問を決めておく:プライベートな交際関係や家庭の事情への深入りなど、業務に直接関係しない詮索は避ける
  • 場所を選ぶ:他の職員の耳に入らない個室や、休憩スペースの空き時間を確保する
  • 時間を守る:延長せず、決めた時間内で終える(長時間化すると「面談が負担」という印象につながる)

面談前の簡単な事前確認シート

面談の直前に本人へ次の3項目だけ確認しておくと、限られた時間を有効に使えます。

  1. 今日、話したいことは何ですか(自由記入)
  2. 最近困っていることはありますか(はい/いいえ)
  3. 前回の面談から変化したことはありますか(自由記入)

【新人職員向け】1on1面談の質問例8選

新人職員には、不安の早期把握と業務理解の確認を軸に質問します。以下の8問を、その日の状況に応じて2〜3問選んで使うのが現実的です。

  1. 今の仕事で、まだ分かりにくいと感じる作業はありますか?
  2. 今週、一番緊張した場面はどんな時でしたか?
  3. 先輩や利用者さんとの関わりで、困っていることはありますか?
  4. 勤務時間やシフトについて、相談したいことはありますか?
  5. 入職してから「できるようになった」と感じることは何ですか?
  6. この仕事のどんなところに、やりがいを感じていますか?
  7. 半年後、どんな介護職員になっていたいですか?
  8. 教育担当や先輩からのサポートは、十分だと感じますか?

質問1〜4は不安や困りごとの早期把握、質問5〜8は成長実感とやる気の確認が狙いです。最初の数回は質問1〜4を中心に、慣れてきたら5〜8も織り交ぜるとよいでしょう。

【中堅職員向け】1on1面談の質問例8選

中堅職員には、負担感・キャリア・後輩育成の悩みを軸に質問します。新人向けの質問をそのまま使うと「今さら聞かれても」という反応になりやすいため、内容を変える必要があります。

  1. 今の業務量やシフトで、無理を感じている部分はありますか?
  2. 今後、リーダーや専門職など目指したい方向はありますか?
  3. 新人指導で困っていることや、支援してほしいことはありますか?
  4. チームの中で、もっとこうしたいと思うことはありますか?
  5. 頑張りが評価や処遇に反映されていると感じますか?
  6. 現場の業務で、ムダや非効率だと感じる部分はありますか?
  7. 最近、以前より意欲が下がったと感じる瞬間はありますか?
  8. 施設や管理者に伝えておきたい要望はありますか?

質問7のような「モチベーション低下のサイン」に関する質問は、聞き方次第で構えられてしまいます。「最近どう?」といった雑談の延長で切り出すと、本音を引き出しやすくなります。

1on1面談で使えるテンプレート(面談記録シート例)

口頭だけで面談を進めると、内容が記録に残らず、次回の面談で同じ話を繰り返すことになりがちです。次のような簡易シートを使うと、継続的な記録がしやすくなります。

項目記入例
面談日・実施者◯年◯月◯日/実施者:◯◯
対象者・経験年数◯◯さん/入職◯か月
前回からの変化(例)夜勤に慣れてきた/後輩指導を任され始めた
今回の質問と回答メモ選んだ質問への回答の要点を短く記録する
気になった点・要フォロー事項(例)人間関係の悩みを口にした→次回も確認
次回までのアクション(例)シフト希望を来月の作成前に確認する
次回面談予定日◯年◯月◯日

このシートは面談者個人のメモとしてだけでなく、担当者交代時の引き継ぎ資料としても機能します。守秘義務の範囲を踏まえたうえで、施設内での保管・共有ルールをあらかじめ決めておきましょう。

本音が引き出せない・話が続かないときの対処法

1on1面談を始めたばかりの施設からよく聞くのが「質問しても『特にありません』で終わってしまう」という悩みです。次の4つを試してみてください。

  • クローズド質問から始める:いきなり「悩みはありますか?」と聞くと答えにくいため、「はい/いいえ」で答えられる質問から入り、徐々に自由回答の質問へ広げる
  • 面談者から先に自己開示する:「実は自分も新人の頃、〜で悩んでいた」と面談者側が先に話すと、部下も話しやすくなる
  • 沈黙を恐れず待つ:質問後の沈黙をすぐに埋めようとせず、考える時間として5秒程度待つ
  • 場所・タイミングを変えてみる:面談室が緊張感を生んでいる場合、休憩室での立ち話形式に変えるだけで話しやすくなることがある

これらは即効性のあるテクニックというより、「話しても大丈夫」という安心感を積み重ねるための工夫です。1〜2回で結果が出なくても、継続することを優先してください。

1on1面談を定着・離職防止につなげるコツ(ミニ事例)

課題:新人の早期離職が続いていたユニットで、原因を探ると「困りごとを言い出せないまま退職を決めていた」という声が複数あった。

施策:入職3か月間は週1回15分の1on1面談を必須化し、質問例のうち「困りごと」「サポート体制」に関する質問を毎回1問は必ず含めるルールにした。あわせて、面談内容を(本人の同意を得たうえで)育成担当間で簡単に共有する仕組みを整えた。

結果:面談導入後、早期の段階で困りごとを把握し対応できるケースが増えたとの声が現場から上がっている(※本事例は一般的な改善プロセスの一例です。数値・成果は施設の状況により異なるため、自施設で導入する際は定着率などの指標を継続的に記録することをおすすめします)。

よくある質問(FAQ)

Q1. 1on1面談は必ず実施しなければならない義務ですか?

法令上、1on1面談の実施そのものが義務付けられているわけではありません。ただし、職員の定着支援や労務管理の観点から実施を推奨する動きが広がっています。制度や指針は改定されることがあるため、最新情報は厚生労働省などの公的機関の一次情報をご確認ください。

Q2. 1on1面談と評価面談は何が違いますか?

評価面談は評価結果を伝える場である一方、1on1面談は部下の状態把握や信頼構築を目的とした対話の場です。本記事冒頭の比較表のとおり、頻度・主導権・話す内容のいずれも異なるため、両方を別の機会として運用することをおすすめします。

Q3. 介護施設の面談では、具体的に何をするのでしょうか?

体調や業務上の困りごとの確認、人間関係の状況把握、今後の希望の聞き取りなどを行います。1on1面談の場合は、評価や処遇の話よりも「今、困っていないか」の確認に重点を置きます。

Q4. リーダー・主任クラスの1on1面談では、何を聞けばよいですか?

チーム運営上の悩みや、部下指導での困りごと、施設全体への要望などを聞くとよいでしょう。中堅職員向けの質問例のうち、質問3・4・8はリーダークラスにもそのまま応用できます。

Q5. 1on1面談の内容は、誰かに共有すべきですか?

本人の同意なく内容を共有することは避けるべきです。ただし、安全や虐待防止に関わる重大な内容は例外的に施設内で共有・対応する必要があります。共有の範囲は事前にルール化しておきましょう。

まとめ

1on1面談は、年数回の評価面談とは異なり、定期的・短時間で行う対話重視の面談です。新人には不安の早期把握、中堅には負担感やキャリアの聞き取りを軸に、本記事で紹介した質問例とテンプレートを活用してみてください。準備とルールを整え、継続することが、結果として定着支援・離職防止につながります。

こんなお悩みはありませんか?

□ 1on1面談を始めたいが、何を聞けばいいか分からない

□ 質問しても「特にありません」で終わり、本音が引き出せない

□ 面談シートを作ったが、忙しくて形骸化している

□ 新人・中堅それぞれに合った面談の進め方が分からない

介護のYOHAKUでは、ZOOMによる職員個別面談(30分)を通じて、施設ごとの状況に合わせた1on1面談の設計・実践支援を行っています。第三者が入ることで、上司には言いにくい本音が引き出しやすくなるケースもあります。あわせて、チームで支える体制づくりにはチームビルディング研修(90分)、数字面での育成方針づくりには介護業界特化KPI研修(全3回)もご用意しています。

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※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としています。制度・実施義務等に関する記載は改定される場合があるため、最新情報は厚生労働省等の公的機関の一次情報および所属先の規程をご確認ください。